太陽光発電は高額な商品であるため、万が一の場合に備えて保証が用意されています。
しかし、太陽光発電の保証は家電製品の保証とは違い、種類も多く、どういう時に役立つのかよくわからないですよね。
そこで、この記事では、太陽光発電の保証の種類や、メーカーによる保証の違いなどを解説しています。
メーカー保証は主に2つ
太陽光発電の保証には、メーカーが用意しているメーカー保証と、販売施工会社が用意している保証に大きく分けられます。
メーカー保証はさらに太陽光パネルの発電量に関するモジュール出力保証と、太陽光発電をするために必要な機器類の機器保証に分かれます。
ここでは、メーカー保証について詳しく説明します。
モジュール出力保証
モジュール出力保証とは、太陽光パネルが作り出す発電量(モジュール出力)が一定の基準に満たない場合、保証期間内であれば太陽光パネルの修理または交換をしてもらえるという保証です。
太陽光発電を検討するときに「年数が経過していくうちに出力が低下するのでは?」という心配があると思います。
モジュール出力保証があることで、こうした心配を取り除き、太陽光発電の購入を促しているわけですね。
ちなみにモジュール出力保証の保証期間は、ほとんどのメーカーで20~25年です。
太陽光パネルの寿命は一般的に20~30年程度、また配線等の劣化による劣化率は毎年0.25~0.5%程度といわれています。
ですからハッキリいってしまうとモジュール出力保証の出番はほとんどないといえますね。
僕が見積もりをしてもらった業者さんの話によると「これまでモジュール出力保証を使いたいという連絡は来たことがない」と言っていました。
住宅用の太陽光発電が登場してからまだ間もないですが、メーカーも太陽光パネルの性能に自信があるからこそ、ここまでの長期保証をつけることができるということになります。
機器(システム)保証
機器保証は、太陽光発電を構成する各機器(太陽光発電システム)が故障したときに修理または交換をしてもらえるという保証です。
例えば東芝の太陽光発電の場合、太陽光パネルだけでなく、パワーコンディショナ、昇圧ユニット、接続箱、架台などの周辺機器も機器保証に含まれます。
これらの周辺機器がどういうものなのか知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
ちなみに機器保証の保証期間はだいたいのメーカーで10~15年です。
なお、発電状況などを確認する電力モニタについては、通常家電扱いとなるため1年保証なのですが、シャープだけは機器保証と同じく15年の保証があります。
災害補償とは
メーカーによっては、モジュール出力補償、機器保証以外に災害補償を無償で用意しているところもあります。
災害補償とは、火災、落雷、台風などの災害に加え、盗難などで太陽光発電の機器に損害が生じた場合の修理費を補償するものです。
メーカー保証が適用されない場合
モジュール出力保証にしろ機器保証にしろ、メーカー保証を受けることができない場合というのがあります。
それは、利用者または第三者がわざと、または誤って壊してしまった場合や、設置環境や施工不良による故障や損傷などの場合です。
設置環境による故障というのは例えば海水が直接かかるような場所に設置して故障や損傷をした場合です。
施工不良というのは、太陽光発電の機器を設置した業者が、施工ミスなどをして、それが原因で故障や雨漏り等してしまった場合です。
さらにあまり考えたくないですが、悪質な業者の場合、メーカー推奨の部品を使わなかったり、メーカーが設けているルールを無視したりすることがあります。
そのようなずさんな工事をしていた場合、メーカー保証の対象外となってしまいます。
保証内容の違いに気を付けよう
さきほど電力モニタの保証についてシャープの例をあげたように、各メーカーによって同じような保証であっても内容が少しずつ異なることがあります。
特に出力モジュール保証については、注意が必要です。
例えば東芝のモジュール出力保証は次のような条件があります。
太陽電池モジュールの出力が、モジュール出力の下限値(公称最大出力の90%)に対して、設置完了日から90%未満となった場合。
出典:東芝の長期保証
この文書だけ読むと「公称最大出力の90%未満になった場合に保証してくれるんでしょ?」と思うかもしれませんが、違います。
一方、ソーラーフロンティアというメーカーの場合、「公称最大出力の95%に対して、90%未満となった場合」としています。
つまり95%×90%≒86%となり、公称最大出力の86%未満となった場合に保証されることになります。
このように同じような言い方をしていても、よくよく読むと内容がかなり違っていることがあるので注意が必要です。
他にも、同じメーカーであっても、太陽光パネルの種類が低グレードのものだと、保証期間が違ったり、長期保証を適用するために有償になったりする場合もあります。
機器保証は15年にしておきたい理由
機器保証は10年~15年ですが、メーカーによっては無償の10年保証が標準でも有償で15年保証に延長することができます。
保証期間を延長できるメーカーであった場合、機器保証は15年にすることを強くオススメします。
というのも、機器保証に含まれているパワーコンディショナという機器の寿命は10年~15年と言われているからです。
実際、見積もりに来てくれた業者さんも「最近、10年くらい前に太陽光発電を導入した方から、パワーコンディショナが故障した、という問い合わせがよく来る」と言っていました。
パワーコンディショナは、太陽光パネルが作った直流の電気を家庭内で使えるように交流の電気に変換するための装置です。
つまり発電量が多ければ多いほど、変換のために装置がたくさん働くことになりますから、その分劣化も早く進むことになります。
もし、10年保証にしていた場合、11年目以降でパワーコンディショナが故障してしまうとメーカー保証は受けることができません。
パワーコンディショナの取り換え費用は工事費込みで20~30万円程度なので結構な出費になりますよね。
そのため、有償であっても10年保証ではなく、15年保証にしておいたほうがいいのです。
メーカー独自の保証
主なメーカー保証は出力モジュール保証と機器保証ですが、メーカーによっては独自にちょっと変わった保証を用意している場合があります。
長州産業の施工補償
本来、施工保証は施工業者が付けるか、損害賠償責任保険などの保険から補償されるものですが、長州産業はメーカー側でも施工保証を用意しています。
つまり、施工不良などによって雨漏り等が発生した場合でも、メーカーの保証で対応してくれるということです。
施工保証は業者がつけているのが普通なので、それを考えれば不要な気もしますが、万が一その業者が倒産してしまったらどうでしょうか。
施工業者が倒産してしまえば、当然、施工保証を受けることはできなくなります。
メーカー側でも施工保証がついていることで二重の安心があるといえますよね。
Qセルズの日照補償制度
Qセルズはドイツ生まれのメーカーです。
ドイツは土地柄、日本よりも太陽光の当たる割合が低く、そうした環境の中で開発されたQセルズの太陽光パネルは、曇りに強いということを売りにしています。
そうした自信から、Qセルズには日照補償制度というものが用意されています。
日照補償制度とは、日照不足が続いて太陽光発電の発電量が低下した場合、一定の基準値を下回った場合に最大50,000円を補償してもらえるというものです。
補償期間は連携日(発電した電気を売るために電力会社の送電線に接続した日)より1年間ですが、このような補償があるのはQセルズだけです。
まとめ
太陽光発電の保証はどれも必要なものですが、メーカーによって説明の仕方や保証内容が異なるため、大変わかりにくいものです。
しかし、「少しの違いだから気にする必要ない」と考えてしまうと、万が一の時、思わぬ損害を被ることになります。
面倒かもしれませんが、自分が契約を検討しているメーカーの保証内容くらいはしっかりとおさえておくようにしましょう。
自力で勉強するのが難しい場合は、一括見積もりサイトの担当者に直接聞いているのも一つの手です。
例えばソーラーパートナーズという一括見積もりサイトは、専属のソーラーアドバイザーという担当者が付くので、いつでも無料で太陽光発電に関する相談をすることができます。
何十年と長い付き合いになる太陽光発電ですから、しっかりと保証内容を把握して、安心した状態で使っていきたいものですね。
というわけで、この記事では太陽光発電の保証とは何かを説明しました。
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